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これが母の威力と言うものか……違うか。
「それにしても愛里は偉いね」
「?……何が?」
「なんて言うか、お母さんの知らない間に大人になっちゃったみたいな」
リビングに戻った母は私を無理やり膝の上に乗せて、強く優しく抱きしめてくれる。
「まだ子どもだよ」
「いやいやー、立派だよ愛里は、偉いねー」
「……そんなこと……ないもん」
本当にそんなことない、立派でも偉くもない、ただ平凡な小学生。
ほんの数分早く産まれただけだが、私は海里の姉なのだから。
おとなびたい普通のこども。
「おーい、出たぞー」
「でたぁー」
寝間着を着た父と下着姿の海里がリビングにやってくる。
「海里、ちゃんと服着ないと風邪引くよ」
「はーい」
返事はしたものの、鉄砲耳の海里はテレビの前に座ってアニメを見始めた。
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