新星

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   このような過去があり、現在の平和に至ることになったのだが、未だ不安定な均衡を保っていると言わざるを得ない。三人の王の国民を巻き込んだ兄弟喧嘩ともいえる戦争で、国民は三人のことを三愚王と呼び、いまだ密かにそう呼ぶ者もいる。  青年が目指す先は、これら三割された大地のうち、元本国とも言える大陸南方のバルネラ王国、その城下街の中心部に位置する巨大なコロシアムであった。  隧道の出口からさらにニ日をかけ、青年はバルネラの都へと辿り着いた。    青年にとって、都に訪れたことは生まれて始めてのことに等しい。幼い頃父に連れてもらったことがあるというが、記憶にない。そのため、都の華やかさや活気はとても新鮮だった。青年は、都中を一巡りしその新鮮さを堪能した。  日が暮れ始めた。明日から大陸中挙げての大会が始まる。青年は宿を取った。  3日後  コロシアムの闘技台の上に3人の男達が立っている。1人は審判である。あと2人のうち1人はかの青年、そしてもう1人は、この青年の背を遥かに凌ぎ、これから起こるであろうことに身じろぎもせず鍛え抜かれた筋肉質の上半身を露呈した男であった。  
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