新星

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   大勢の観客の喚声が天をつくばかりに鳴り響いて止まない。好天に恵まれた空は朱に染まりつつあった。 「ふぅむ…。今大会は記念すべき第100回に相応しく面白い。あのヨールとかいう新参者、若いにも関わらず、もの凄い手練れじゃ。あのような若者が我が領民でおって、全く救われた思いじゃ。あのような者が他国から現れたらとてつもない脅威となったところであったわ。  ところで、のぉ、将軍、そちはあの新参者とヨハン、どちらに分があると思おておる?」  王たる衣装を身に纏い、その風格を持った男の問いに、白髪の老人だが、体躯の引き締まった将軍と呼ばれた傍らの男は答えた。 「さて…。あの怪力だけが持ち得だったヨハンも、今年こそ陛下の親衛隊隊長になるべく、技を磨いてきたのを私は見守って参りました。今度こそこのガーリアが怪力ヨハンに敗れるやもと、手合せを楽しみにして参りましたが、無念の敗退…。  あのヨールとか申す者、手合せしてわかり申したが、若いながら技に一分の隙もなく鬼気迫るものがあり申した。いかに鍛え抜いたヨハンと言えど、適わぬ相手であるかも知れませぬ」  バルネラ王は、続けて言った。  
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