新星

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   「そうじゃのう。そちを追い詰めた若者じゃ。よもすれば…。おうおう、そうじゃ、天下のバルネラ王国大将軍が無様に転んだっけのぉ」  高笑いしながらバルネラ王は、大将軍ガーリアをからかった。ニ人は、20年前の戦争以前からの間柄であった。からかいも笑い事ですむ。老将軍は照れもせず続けた。 「それだけ、このしぶといガーリアも年を食ったということでござる。世代交代の風を感じますわい」 「そうじゃな、確かにそちは年を取った…。だが、まだじゃ。余にとって、そちはまだまだ必要な人間じゃ。将軍、これからも力を貸してくれ、な」 「もったいないお言葉。軍人(イクサビト)冥利に尽きまする。このガーリア、死すまで国を思い、全力を尽くす所存。ご心配召されるな」  ガーリアは、ヨールという若者に敗北を喫したものの、すがすがしい気概に満ちていた。自分を超え、役目を継ぐであろう者が現れたことと、バルネラ王の言葉が嬉しかった。 「おうおう、その心意気が天下のガーリア将軍というものじゃ!おっ、決勝戦が始まる様じゃ。これは一世一代の見ものじゃぞ」  バルネラ王は、目を輝かせてコロシアムの中央を指差した。  
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