新星

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   S.C.14978102011  (バルネラ暦 100年)  第3の地球 「晴れの舞台じゃ、お主に授けたことを全て出し、精一杯頑張って参れ」  頭は全て禿げ上がり、真っ白な口髭と顎髭とを豊かに蓄えた老人は、眉も白く長くなって目にかぶさるほどあり、こちらからは見えないような目で、厳とした眼差しの中にも優しい感情を込めて相手に対しそう言った。 「はい。それでは、行って参ります。父さん…いえ、お師さん、今までご指導ありがとうございました。全力を出し切って参ります。私の留守中は色々とご不便でしょうが、くれぐれも健康を損なうことなくお過ごしください」  鈍く深い青色に輝く鎧を身に纏い、腰には伝家の宝刀とされるが、鉄や鋼などの金属でできていない古びた木剣を腰に帯び、すっかり旅支度を終えた24歳の青年は、緑色の瞳に輝きを浮かばせながらも、父や師と呼ぶこの老人を気遣いそう言った。 「わしのことは何ら心配無用じゃ。さあさ大会に遅れるぞ。行くが良い。道中は長い。気を付けてな。良い知らせを待っておるぞ」  
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