探偵なサムライ

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刀、磨かざればすなはち真実を照らす水面となろう 親父の残した最後の言葉がコレだった。 探偵だった親父はとある事件に関わりその深くに入りすぎた所為でそのまま逝ってしまった。 いや、正確には姿を消してしまった。 蒸発か、はたまた死んでしまったのか。 まあ、今の俺にとってはどうでもいいことだが…… ガキだった俺をちょくちょく仕事場に連れて行ってはいろんな事を手伝わされた。 世間一般的に名探偵『石川弁慶』。 またの名をサムライ探偵などと呼ばれていた。 仕事をする際には必ず木刀をこしらえて行くからその名が付いたと言う。 あんな言葉を残しておいて刀じゃなく木刀を使っていたって言うのもおかしな話だ。 まあ、要するに破天荒で目立ちたがり屋の親父だったてぇ事だ。 それでも傍で見ていた俺はいつもこう思う。 仕事をしていた時の親父の顔は誰よりもかっこよく俺のヒーロー的な存在だった。 親父の後を継いだその今でも………
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