不幸の序章

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どんな事件でも、焦りは禁物だ。 焦りが手掛かりを消し去ってしまう。 その事は宮下もよく知っているが、今回に至っては忙ぐ必要がある。最初に署で聴取を受けてから五日、友人c三回目の聴取。ナイフの指紋が上がったらしい。そして、刑事から告げられた。 「ナイフに付着していた指紋が友人cの指紋と合致しました。」 確かに友人cは現場でナイフを拾った。 しかし子供を刺してはいない。 この時友人cが感じたのは罪悪感でもなく、後悔の気持ちでも無い。何故か心が開ききった、妙な開放感だった。
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