弐.手鞠歌

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「せっ――らう―た」 ノイズ混じりだった声も姿もだんだんはっきりしだす 夏季はこの意味不明な現象から逃れたいのに、体が金縛りにあったかの様に動かない 目でさえもゆうことを聞かない 聞こえてくるのは着物を着た男の人の声だけ 先程まで聞こえていた車の音や、遊んでいた子供達の声も、いつの間にか消えてしまっていた 「ろくじょ――つ―りすぎ しち――えれ―はっ―― ―じょうとう――」 「へ?ってちょ!?」 ノイズもほとんどなくなった姿をじっと見るしかなかった夏季に、誰だかわからないがいきなり服の襟を捕まれ、そのまま夏季は背中から大きな石の階段から落ちてしまった 「とどめさす――――」 最後に見たのはノイズが無くなった着物を着た、綺麗な長い髪をした男の人の笑顔だった
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