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参.時越
「あぁー……」
目を覚ませば逆さまに映る視界
太陽の光が照らされ、視界に移る大きな木から蝉の泣き声が聞こえる
「階段から落ちたんだ」
否、落とされたが正しい
夏季は腰と後頭部の痛さに目を閉じて、思い出す
石の階段のど真ん中に大の字で寝転ぶ、頭を地面に付けて、である
「はぁ…悪趣味だなぁ」
なんて言いながらも夏季は青い空を見る
同時に風がふわりと吹く
「………きれー…」
青空に白い雲が重なり、木々が風に揺れて地面の日陰も揺れる
「……あれ?」
目の前に移る景色に違和感がある
確か私が倒されたのは壬生寺の大きな石の階段
今見えるのは…
道が途中で消えている…
地面から青空に変わっている
よく回りを見れば、自分の倒れているこの石の階段も全然小さく、木々が生い茂る
壬生寺は木はそんなになくって、太陽の光は地面に反射するほど明るかった
目の前に移るその景色はその正反対を移す
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