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「日本人?いやはや、ごめんねぇ。あまりにも綺麗な目の色でね」
異人さんとまちがえてしまったんだよ
確かに夏季の瞳の色は黒、ではなくどちらかというと茶色と言った方が正しい。元々髪の毛も色素が薄く、茶色ぽかった夏季。だが今は髪を染めて髪の毛だけ真っ黒でやけに不自然である
老人はニコニコと笑顔で謝り、一歩夏季に近寄って今度はキョトンと目を丸めて夏季を凝視し始めた
「お嬢さんや。その身に纏ってるのは…」
指を指して言われた言葉に夏季は自分の着ている服を掴みチラリと見て普通に
「服ですけど?」
いや、てか普通でしょ?
「ふく?べべと違うのかい?」
「べべ…?」
この人一体どこの時代の人だよ
夏季はさらに眉間にシワが寄る。それもそのはず、この目の前の老人と会話が成り立たないからだ
「そういえば…港で見た異人さんのべべと似てる様な気が…」
「あのさっきから異人さん異人さんって…しかも服の事をべべって…。江戸時代の人じゃあるまいし」
この前ドラマの台本に自分の台詞に"べべ"という単語があったのを思い出し、夏季は呆れる顔で少し早口で言った。
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