壱.京都

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「若いお方が聞きに来てくれはるんは嬉しいですわ」 夏季が眺めていた庭を見ておじいさんが言った 「少し、質問してもえぇですか?」 晴れ渡る白い雲と、綺麗な緑色した木が風に煽られる。もちろん夏季の長い髪の毛もふんわりとだがなびいた 「もし芹沢鴨が暗殺されず、かわりに近藤勇が暗殺されていたら…どないな未来になってましたやろか」 「…近藤勇が……ですか?」 庭を眺めていたおじいさんは少しずれた眼鏡を片手であげ、ニッコリと夏季に向かって微笑んだ 「少し……難しいかったかな」 ささ、お連れの方ももうすぐお菓子食べ終わるとちゃうかな?店に行かれたらどうでしょう? おじいさんは先程話していた芹沢鴨が殺される時に逃げ回ってできた刀傷を、優しく撫でた .
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