壱.京都

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「なーにをそんなに考えこんでんの?夏季」 ぽんぽん と、さきさき歩いて行ってしまったはずの茂野が夏季のそばまで戻って来て、頭を優しく撫でる 「茂さん、もし…」 芹沢鴨じゃなくて、近藤勇が殺されていたら すっきりしない質問を夏季は茂野の聞こうとした。が、肝心な部分を言う前に口を閉じてしまった 「……」 「?夏季?」 これは…私が解くべき問題だわ 「なんでもないです」 言いかけた言葉をすぐにしまい、夏季は茂野に笑顔で返事を済ました 「そう?あ、喉渇かない?私ジュース買ってくるから夏季は待ってて」 サングラス貸すからかNatsukiだってバレないようにね そう言い残し、茂野は小走りでさっき歩いてきた道を行ってしまった。きっと、八木邸の近くにあった自動販売機の所に行くのだろう 茂野に言われた通り、夏季は渡されたサングラスをかけ、壬生寺の境内へ繋がる数段ある大きな石の階段を二、三段登った
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