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弐.手鞠歌
「まるたけえびすにおしおいけ…」
「ぇ?」
後一段で、大きな石の階段を登り終わると思い、足を上げた瞬間
後ろから聞こえた可愛いらしい女の子の声に驚き、夏季はくるりと後ろを向いた
「あねさんろっかくたこにしき
しあやぶったかまつまんごじょう
せったちゃらちゃらうおのたな」
振り向けば、髪の毛をお団子にくくった小学校低学年くらいの女の子が手鞠をしながら歌っていた
「ろくじょうさんてつとおりすぎ
しちじょうこえればはっくじょう
じゅうじょうとうじでとどめさす」
京弁で歌われたなんとも個性的な歌詞に、夏季は目が点になる
そんな夏季を知ってか知らずか、女の子は手鞠を両手に持ち、去って行ってしまった
先程、女の子が手鞠をしていた場所をじっと見つめる夏季
「……―――…」
「!?」
「――――ま―じょう」
するとその場にノイズが走る様に、微かに見える着物を着た男の人が…しかも声までもノイズ混じりで聞こえる
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