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宮本――
『おはよー宮本先生』
『……はよ』
いつもどおりの一日――そう思わなくてはいけない。
『先生、かんじわるっ!どうしたんですか?』
『はぁ……何でもないから、早く行けー』
教師という立場上、生徒の前で態度の波はあまり出してはいけない。分かってる。分かってるけど――。
『宮本』『鳥羽か』声を聞くだけで分かるほど、最近こいつと話している。話しているというか説教というか。『話したいことある』
学習室に入って、二人きりになった。
『電話のこときいたわ。ゆずが何かの被害にあうから断ったの?』
『あぁ、そう――!』
バンッと、静寂しきった学習室に音が響いた。梨華が机を叩いたのだ。
『どうして同じこと繰り返すの?あなたのしてることはゆずの為になってないの分からないの?』
『なってないわけじゃないんだ。目に見えてないだけで。何か起きたあとじゃ遅すぎる』
仕方のないこと。ゆずを無事に高校を卒業させてやりたい。進路だってきっちり決めさせてやりたい。
【ねぇ、楓】
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