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腕を引っ張られたまま零は夢海とともに準備室を出て行く。
そのまま帰ろうとしているのかと首を傾げれば職員室の前までやってきた。
「はい、荷物とってきなよ」
「…お前は?」
「ここにいるから、安心して」
夢海はにこっと笑えば零の手を離してから壁に寄りかかる。
零はため息をつけば夢海を置いて職員室へ入る。
中に残っていた数人の教師が零を見て言葉をかけてくる。
「あぁ……仕事は終わったのでもう帰ります」
「お疲れ様でしたー」
外に夢海がいることに気づいていないのか、教師たちは笑顔を向けてくる。
かばんを持って外に出ればやはり夢海は待っていた。
「本当に待っていたのか」
「もちろん、一緒に帰っていいだろ?」
はぁ、とため息をつけば、好きにしろとつぶやいて歩き出す。
夢海は嬉しそうに笑ってから零の後ろをトコトコとついていく。
誰もいなくなった校舎に二人の足音だけが響く。
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