懐かしい。

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「ぶへっ!」 どすんっ!と大きな音を立てて 低い木の椅子から落ちる少女。 それに続いてそびえ立つ本棚から次々に本が雪崩落ちる。 「うはぁ…」 「だっ…大丈夫?」 分厚い辞書が頭にぶつかり、本の山に埋まりかけた少女に 少年は焦りながらも手を差し出した。 「ありがとぉ… もう!こんなに本があるからこんな目に遭うんだー!!」 「そんなこと言ってないで、片付けるよ。 全くおっちょこちょいなんだから… …あれ?」 手当たり次第本を投げる少女に呆れながらも、少年は本を次々に手にとり、棚に並べていく。 その手が一冊の本を持ち上げ、止まった。 「?どーしたの?」 「…こんな本、あったっけ…?」 「古ぼけた赤い色ぉ… こういう本ならいっぱいあるじゃん! それにここにある本全部読んだわけじゃn」 「読んだよ。全部。」 両手一杯に広げ、ぐるりとその場で一回転。 きっぱりと言い放つ少年に 「すごっ…」 とりあえずビックリする少女。 360゚全部が本で埋め尽くされる蔵に、微かに響く。
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