懐かしい。

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「…ねぇねぇ、なんだと思う? この本。」 込み上げてくる好奇心を押さえきれないような、ウキウキとした可愛らしい声。 「さぁ? ずいぶんと古いみたいだけど…」 「題名はぁ…えっ…とぉ… "悪ノ"…何?文字が擦れちゃってて読めない…」 「…でもさ」 「「なんだか懐かしい」」 ハモった声に、顔を見合わせるとさっきまでの真剣そうな顔は何処へやら。 「読んでみよっ!」 「うんっ!」 子供らしい無邪気な笑顔で 少女は本を抱え、 少年は椅子を引き、 2人は机に並んで座り、赤い本を開いた。
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