自殺

3/9
前へ
/63ページ
次へ
責任感や統率力にも恵まれていて、彼女の示す指針には、みんなが賛同した。 私を含む、みんなが―――。 ・・・・・・今が、一番輝いていたのに、と誰かが言っていた。 だけど、私は違うと思う。 『今が一番』じゃなくて、『これからもずっと』彼女は輝いていただろう。 ・・・・・・少なくとも、周りから見たら・・・・・・。 生前、私は彼女に告白されたことがある。 愛の告白、というやつだ。 ・・・・・・正直、驚いた。 同性である私のことを好きになったということも驚いた。 だけどそれよりも、みんなに人気のある彼女が、私みたいなパッとしない、空気みたいなやつを見ていたということだ。 ・・・・・・私は彼女とはまったく違う。 正反対にすらも立てない。 もともとの立っている場所が違う。 そんな感じだ・・・・・・。 私が彼女の想いを断ったとき、彼女は今のままでいてほしいと言った。 それまでのように、挨拶を交す程度の関係でいいと。 私は、その様子があまりにも儚く、綺麗に見えた。 だから、というわけでもないけど、私は彼女に触れた。 彼女はびっくりしていた。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

171人が本棚に入れています
本棚に追加