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あの後、山田くんは自分の教室に帰り先生が来て僕は、高木の隣の自分の席に座った。
「大ちゃん、大丈夫?」
前の席の伊野ちゃんが振り返って心配そうに聞く。
「あ、うん。」
苦笑いをしながら頷く。
ちらっと横目で高木を見ればやっぱり、寝ていた。
席が隣で距離は近いのに何故か、遠く感じた。
「はあっ、」
高木から目線を逸して
降り出した雨空を見上げる。
まるで、僕の心のようだった。
―――――――――――――――――――
授業が終わり、昼休みになった。
いつもなら、僕に命令して来る高木は、昼休みになった途端
山田くんと何処かに行ってしまった。
「大ちゃん、一緒に食べようっか?」
ふいに掛けられた声に高木の事を考えていた僕の頭が目覚めた。
「あ、うん。」
慌てて開けた鞄には、自分で手作りした弁当が二つ。
その弁当を見れば胸がズキンっと痛くなった。
それは、いつもパンばかりを食べてるから
今日、早めに起きて高木のために作った弁当。
「もう…いらなくなっちゃったな。」
自分の弁当を取り出してもう一つの弁当を鞄の奥に押し入れた。
やっと、前の生活に戻ったのに
全然、嬉しくなかった。
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