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それから数日がたった。
高木は相変わらず、僕を避けて山田くんと一緒にいる。
今だって、山田くんと楽しそうにお喋り。
「ゆーや、今日泊まりに来るよね?」
……え?
「あー…、行く。」
なにそれ…?
「じゃー…、今日はハンバーグね!笑」
ハンバーグ…?
「まぢで?楽しみだわ」
嬉しそうに微笑む高木。
その笑顔が僕に向けられていないのが悲しくなった。
「ゆーやの大好物だもんね?笑」
大好物…、
そういえば
僕は、高木の事を何も知らない。
「よく知ってんなー?笑」
くしゃくしゃと山田くんの頭を撫でる高木。
やめて、触るな。
「えへへ、だってゆーやの事だもん。」
なんでも知ってるよ?と微笑みながら付け足し、高木の膝に乗った。
やめろ、高木に触るなッ!
「…―っ!」
ばんっ、と机を叩いて立ち上がれば
シーンと静まり返る教室。
もちろん、高木達とクラス皆の視線は僕に向けられる。
その時の皆の視線が
何故だか急に冷たく感じて
怖くなった。
震えしまう手が止まらなくて
俯けばふいに涙が零れた。
「…有岡、ちょっと来い。」
カタっ、と小さく音が鳴り響けば
アイツの声が聞こえた。
机に置いてある震えている手を握られて
僕は、ちゃんとアイツの顔を見れずに俯いたまま教室から出た。
アイツに他の奴の名前を呼ばれれば
僕の胸ははりさけそうなぐらい痛くなる。
でも、
アイツに名前を呼ばれただけで
僕の胸は暖かくなるんだ。
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