パシリの日々。

2/3
前へ
/27ページ
次へ
「有岡ー、パン。」 「あっ、はい!」 「有岡ー、お茶。」 「は、はい!」 「有岡ー、煙草。」 「えっ、はい!」 「有岡ー、キス。」 「はいっ!って、え!?」 「冗談だし…笑」 転校生、高木雄也が 来てから一週間がたった。 あの日、 "お前、今日から… 俺のパシリな?" と、言われた。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「なっ!?」 「断ったらー… お前、潰すよ?」 「っ!」 その時の 高木は、本当に怖くて 声が出ずに ただ頷くしかなかった。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ それからずっと、僕は 高木のパシリをやっている。 「有岡ー、」 「ふぇ?はい!」 昼休みは、休む暇なんてないぐらいに こき使われている。 「はあっ、疲れたー…。」 「大ちゃん!はい、ジュース。」 ただ、休み時間だけは休める。 高木は、授業中は寝てるから休み時間も寝っ放し。 そして、伊野ちゃんは いつも、休み時間にジュースやお菓子をくれる。 「あ、ありがと。」 ジュースを飲んでいれば ジー、と気になる視線。 「伊野ちゃん。なに?」 流石に気になって 苦笑いをしながら聞けば 「大ちゃん。 前よりなんか、表情豊かになった?」 「え、表情…豊か?」 いつもと変わらないのに、 いつもと同じように 仮面を被って…――― 「なんか、恋をしてる女の子みたい。」 そう言って 微笑んだ 伊野ちゃんの笑顔は すごく綺麗だった。 _
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

140人が本棚に入れています
本棚に追加