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「有岡ー、パン。」
「あっ、はい!」
「有岡ー、お茶。」
「は、はい!」
「有岡ー、煙草。」
「えっ、はい!」
「有岡ー、キス。」
「はいっ!って、え!?」
「冗談だし…笑」
転校生、高木雄也が
来てから一週間がたった。
あの日、
"お前、今日から…
俺のパシリな?"
と、言われた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「なっ!?」
「断ったらー…
お前、潰すよ?」
「っ!」
その時の
高木は、本当に怖くて
声が出ずに
ただ頷くしかなかった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
それからずっと、僕は
高木のパシリをやっている。
「有岡ー、」
「ふぇ?はい!」
昼休みは、休む暇なんてないぐらいに
こき使われている。
「はあっ、疲れたー…。」
「大ちゃん!はい、ジュース。」
ただ、休み時間だけは休める。
高木は、授業中は寝てるから休み時間も寝っ放し。
そして、伊野ちゃんは
いつも、休み時間にジュースやお菓子をくれる。
「あ、ありがと。」
ジュースを飲んでいれば
ジー、と気になる視線。
「伊野ちゃん。なに?」
流石に気になって
苦笑いをしながら聞けば
「大ちゃん。
前よりなんか、表情豊かになった?」
「え、表情…豊か?」
いつもと変わらないのに、
いつもと同じように
仮面を被って…―――
「なんか、恋をしてる女の子みたい。」
そう言って
微笑んだ
伊野ちゃんの笑顔は
すごく綺麗だった。
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