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「あのー。……よく聞こえませんでした。今なんと?」
念のために聞き直す。もしかしたら聞き間違いかもしれないし。
いいや。聞き間違いです。聞き間違いに違いないです。
だってほら、最近花粉症が酷かったし中耳炎になってるんですよ。そうです。そうに違いない。
「死ねって言ったのよ。聞こえなかったの?じゃあもう一回言ってあげる。死ね!」
ほら、聞き間違………
あれ?
「その……死ねって…DEATH的な意味でですか?」
「それ以外何があるのよ?」
どうやら僕の耳は中耳炎でも難聴でもなく正常なことが発覚しました。
ははは……どうせなら中耳炎でも難聴でもいいから聞き間違いの方がよかったよ……。
見ず知らずの女の子にいきなり死ねって言われる精神的苦痛ったらマジ半端ないですよ。
「ちょっと……そんな露骨に落ち込まないでよ……あたしが悪いみたいじゃない!」
おっと…知らない内に僕は露骨に落ち込んでいたようです。
それと悪いみたいではなく悪いんだとは言えない。いや言わない。
だって僕紳士だし。変態という名じゃない方の紳士だし。
「すいません。確かにぶつかったのも僕の前方不注意のせいでもありますしね」
まあいなり寿司をくわえて僕の視角に飛び込んできたのはあんたなんだけどな!とも思うが口には出さない僕ってマジ紳士。
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