PHASE-01

2/3
前へ
/5ページ
次へ
C.E.76――― 中立国家オーブ連合首長国にあるアスハ邸に、金髪で紫色のスーツに身を包んだ一人の人物がゆっくりと帰宅する 「はぁ~~…」 帰宅後、執務室にて深々とため息をつきソファーに座り込むカガリ・ユラ。 そこへ、青い髪にオーブの軍服を身に纏ったアスラン・ザラがカガリに、そっと紅茶を差し出す。 「どうした…元気ないぞ?」 「アスランか…ありがたく貰うよ」 差し出された紅茶を手に取り、一口飲んだカガリには多少笑みが表れる。 「何かあったのか?」 アスランが疲れきったカガリに聞く。 「時々思うよ…、私は正しかったのかと…。今現在も議長が唱えたデスティニープランが正しかったと考える者たちがいて、各地でテロが多発している…」 カガリがテーブルに紅茶の入ったカップを置き、そっと話しだす。 「『僕が選んでこうしたんだ』キラならこう言うだろうな…」 アスランが言う。 運命―――それは定められた未来…。議長はデスティニープランを掲げ、人々の未来を運命としてあてがい、コントロールしようとした。 だが、キラは訴える。 『自分のことを自分で決める権利を奪わないでください』 『争いは嫌だし戦争も嫌だ。けれど、自分のことを自分で決められないのはもっと嫌なんだ』 キラはその提案を正しいとも正しくないとも言わない。ただ、『僕は嫌だ』と言うのだ。 キラは運命の定められた未来より自由の未来を選んだ。正しくないかもしれないその道を、キラは選んだ。それこそが自由なのだ。 「そうか…私が選らんでそうしたんだよな…」 「ああ…、あとはカガリがこれからどうしていきたいかじゃないのか?」 「…そうだよな。ありがとうアスラン、少し気が楽になったよ」 カガリは軽く微笑みながら言う。 「そういえば…今日は君の幼なじみが帰って来るんじゃなかったか?」 アスランが手に持っていたカップをテーブルに置き、カガリに尋ねる。 「ああ…。だけど、まだ仕事が残ってるんだ。会いに行けそうにないよ…」 そういうと、カガリは残っていた紅茶を一気に口に流し込み、軽くため息をついた。 「行ってこいよ。久しぶりに会うんだろ?残りの仕事はオレが何とかするからさ」 アスランはスケジュールを見て言う。幸いにも残りの仕事は事務的なもので、カガリでなくても出来るものだった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加