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C.E.76―――
中立国家オーブ連合首長国にあるアスハ邸に、金髪で紫色のスーツに身を包んだ一人の人物がゆっくりと帰宅する
「はぁ~~…」
帰宅後、執務室にて深々とため息をつきソファーに座り込むカガリ・ユラ。
そこへ、青い髪にオーブの軍服を身に纏ったアスラン・ザラがカガリに、そっと紅茶を差し出す。
「どうした…元気ないぞ?」
「アスランか…ありがたく貰うよ」
差し出された紅茶を手に取り、一口飲んだカガリには多少笑みが表れる。
「何かあったのか?」
アスランが疲れきったカガリに聞く。
「時々思うよ…、私は正しかったのかと…。今現在も議長が唱えたデスティニープランが正しかったと考える者たちがいて、各地でテロが多発している…」
カガリがテーブルに紅茶の入ったカップを置き、そっと話しだす。
「『僕が選んでこうしたんだ』キラならこう言うだろうな…」
アスランが言う。
運命―――それは定められた未来…。議長はデスティニープランを掲げ、人々の未来を運命としてあてがい、コントロールしようとした。
だが、キラは訴える。
『自分のことを自分で決める権利を奪わないでください』
『争いは嫌だし戦争も嫌だ。けれど、自分のことを自分で決められないのはもっと嫌なんだ』
キラはその提案を正しいとも正しくないとも言わない。ただ、『僕は嫌だ』と言うのだ。
キラは運命の定められた未来より自由の未来を選んだ。正しくないかもしれないその道を、キラは選んだ。それこそが自由なのだ。
「そうか…私が選らんでそうしたんだよな…」
「ああ…、あとはカガリがこれからどうしていきたいかじゃないのか?」
「…そうだよな。ありがとうアスラン、少し気が楽になったよ」
カガリは軽く微笑みながら言う。
「そういえば…今日は君の幼なじみが帰って来るんじゃなかったか?」
アスランが手に持っていたカップをテーブルに置き、カガリに尋ねる。
「ああ…。だけど、まだ仕事が残ってるんだ。会いに行けそうにないよ…」
そういうと、カガリは残っていた紅茶を一気に口に流し込み、軽くため息をついた。
「行ってこいよ。久しぶりに会うんだろ?残りの仕事はオレが何とかするからさ」
アスランはスケジュールを見て言う。幸いにも残りの仕事は事務的なもので、カガリでなくても出来るものだった。
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