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2人の元へたどり着くと、まだ息の切れている僕を2人とも優しく抱きしめてくれた。
何の屈託もない、純粋な笑顔で。
「お久しぶりですね、昴琉君。元気でいらっしゃいましたか?」
僕が殺したはずの貴方は何の憎しみも持たない笑顔で話しかけてきて。
僕は思わず胸を潰していた。
「そんなにお気に為さらないでください。」
そう言って、僕の頭をそっと撫でる。
「そうよ!もう終わった事なんだから!!」
北兎ちゃんもそれに言葉を重ねてくる。
僕はそんな2人の様子にあっけに取られたけれど。
次の瞬間には、もう打ち解けていた。
「北兎ちゃんには適わないですね。」
そんな貴方の言葉も聞こえたけれど、それには僕も思わず肯定してしまう。
それを見た北兎ちゃんが
「ちょっとー!2人だけで通じあわないでよー!」とけしかけてきて。
僕たちは顔を見あわせて、本当に久しぶりに笑ってしまった。
嬉しすぎて、涙がこぼれた。
また3人で笑いあえるなんて思わなかったから。
そして、僕は伝えたい言葉がある事を思い出して、星史朗さんの方へ向き直った。
はやる心を出来るだけ抑えて。
今度こそ貴方の瞳を逸らさずに、告げた。
「星史朗さんが、“好き”です。」
恥ずかしがらずに、迷わずに。
一点の曇りさえない言葉で。
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