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こうしてまた、僕は朝を迎えた。
この胸の傷痕は、きっと消えることはないだろう。
何度だって、僕を明日へと突き放す、
二度と消えない、この現実の痛みこそが、──貴方の願いだから。
だから、僕は生きていく。
貴方が繋いだ、この生命が。
まだ脈を打つ、この鼓動が。
まだ貴方の元へ行くことを、許そうとしないから――。
たとえ、この消えない鎖を一生引きずっていくのだとしても。
あんなにも一生懸命に命を燃やして咲いている、この桜の花びらが舞い散る季節を数えながら。
僕は、生きていくから──。
≪END≫
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