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【とある学園にて】
やがて僕はとある学園の一室にいた。
誰もいない部屋に、闇と静寂だけが存在していた。
そこへドアを開く音がして、神戌が部屋へ訪れて来た。
彼は心配そうに僕を見下ろして、掛ける言葉に困っているようだった。
その場の時間が止まったかのような沈黙が流れて、僕はただ神戌を見上げた。
一瞬の沈黙が、まるで永遠のように感じられて。
それから重たい雰囲気を振り切るようにして、僕は穏やかに話し始めた。
彼の事。賭けの事。思い違っていた事。
彼は僕から紡がれる全ての言葉を、ただ噛みしめるように聞いていたけれど。
「誰もが幸せになる道なんてないんだよ」
そう僕が呟くと、彼の表情が今までに見た事がないものに変わった気がした。
もう僕はそれさえも、どうでもよかったけれど。
そして神戌を見送ると、僕は部屋の窓から姿を消した。
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