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3月28日、森くんの1回目の命日。
あたしたちは彼のお墓の前にいた。
春なのに空気が冷たくて、寒い日だった。
交代で彼のお墓に手を合わせてから、後はひたすらにウソツキを待った。
復讐の首謀者の須藤美晴が、幼馴染の森孝司くんの日記を見つけてからもうすぐ1年。
彼女に真相を聞いてから、あたしたちは常に復讐のために動いていたといっても過言ではない。
中学2年生から引き籠っていたあたしの親友、工藤優も、その頃何かが壊れたかのように非行に走っていた野々森徹也も、この計画には積極的に参加していた。
これまでは下準備。本格始動は新学期から。この日はその直前だった。
美晴は何度も言っていた。
ウソツキである吉川沙弓が、懺悔した時点で復讐は終了。
そこまでできなくとも後悔し、反省している様子が見て取れたなら同じ。
つまり、今日のような日にお墓参りに来たりするなら、計画は始動の前に終了なのだ。
今までの苦労は水の泡になるが、美晴はそれでもいいと言っていた。ーーー否、もっと言えば、それを望んでいるようにさえ思えた。
美晴は首謀者でありながら、誰よりも計画の立ち消えを願っていたのだ。
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