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人の形のした“それ”は、萃香の言うように飛んでいると言うより落ちてきていた。
それも真っ直ぐ、なんの動きも見せず。
この時点で、あの人物は完全に気絶していることが分かった、そしてあともう一つ。
「……って見ている場合じゃ無いじゃない!!萃香!!」
「そこは自分で行こうよ…
まぁ、良いけどさ…」
文句を一つ溢し、慌てる事無く萃香は地面を蹴り上げた。
本来、翼を持たない生物は空を飛ぶことができない、一時的に浮くことは出来てもだ。
しかし、萃香は浮いたまま、地面に降りていない。
それどころかそのままグングンと、人影に向け上昇していくではないか。
実はこの幻想郷、幻想が集まるせいなのかは分からないが、常識が通用しない。
いや、正確には“常識が非常識に、非常識が常識に”変わると言った方が良いだろう。
良い例が今の萃香の行動、“人、また翼の無い生物は空を飛べない”と言う当たり前の常識は、ここでは通用しないのだ。
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