夢ノ弐

9/12
前へ
/33ページ
次へ
人の形のした“それ”は、萃香の言うように飛んでいると言うより落ちてきていた。 それも真っ直ぐ、なんの動きも見せず。 この時点で、あの人物は完全に気絶していることが分かった、そしてあともう一つ。 「……って見ている場合じゃ無いじゃない!!萃香!!」 「そこは自分で行こうよ… まぁ、良いけどさ…」 文句を一つ溢し、慌てる事無く萃香は地面を蹴り上げた。 本来、翼を持たない生物は空を飛ぶことができない、一時的に浮くことは出来てもだ。 しかし、萃香は浮いたまま、地面に降りていない。 それどころかそのままグングンと、人影に向け上昇していくではないか。 実はこの幻想郷、幻想が集まるせいなのかは分からないが、常識が通用しない。 いや、正確には“常識が非常識に、非常識が常識に”変わると言った方が良いだろう。 良い例が今の萃香の行動、“人、また翼の無い生物は空を飛べない”と言う当たり前の常識は、ここでは通用しないのだ。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加