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「よっと…」
時間にして十秒も掛からない、それぐらいの速さで人影に追い付いた萃香はゆっくりとその人物を抱える。
そしてその人物の状態と鼻に付いた匂いに思わず顔をしかめてしまう。
「これは…」
紅い、それが萃香の抱いた第一印象。
その人物は少年で、まだ幼さが残る、しかしどこにでも居そうな普通の顔立ちは固く目を閉じている。
神主なのだろうか、白の和服に紺の袴を身に付け、その身体は細い。
しかし今は服の至るところがボロボロ、無数の傷を負い、その傷から溢れた血で自らの身体を紅く染め上げていた。
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