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それは夢なのか、“彼”には分からなかった。
身体はとても軽くて、まるで身体を構成する物質が全て羽になったかのよう。
フワフワフワフワと、その流れに身を任せ、ただただ浮いている。
まるでそれは夢見心地の様に心地好く、心まで軽くなっている。
出来ればこのままの状態で時を過ごしたい、心地好さのせいでろくに働かない頭でそう考えるほどに。
しかし、“彼”の目の前に広がる光景は、それとは真反対の物だった。
何もかもがボロボロの風景。
広大な敷地はさぞ手入れが行き届いていたのだろう、至るところにクレーターができ、
力強く根付いていただろう木々は根元からへし折られていた。
それはあまりにも悲惨な光景。
一体何をどうすればこのようなことになるのか、“彼”には到底検討がつかなかった。
ふと、思い出したかのように視線を上にあげた。
ボロボロの地面の遥か上、そこには二つの人影がいた。
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