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――お元気でしょうか? いよいよ夏休みですね。
さて、突然ですが同窓会を開きませんか?
場所は――
「……あの基地か。懐かしいなぁ」
一通のメール。同窓会の誘いのメールだった。差出人は不明だが恐らく誰かがメールアドレスを変えたのだろう。もう二年も連絡を取っていない仲間もいるのだから別に不思議な事でも無い。
野球部マネージャーの俺を呼ぶ声が聞こえる。軽く返事をし、俺はひとまずグランドに向かった。
――あふたぁフラグマン――
「ああ、そのメールならオイラのところにもきたでやんすよ」
「えっ、お前もかよ。ユイは?」
わざわざ携帯を取り出そうとしている落田を無視し、ユイの方を見る。コイツも携帯を取り出そうとしていた……いや、それどころか俺の目の前にそれのディスプレイを近づけてきた。
どうやらユイにも俺と全く一緒のメールがきていたようだ。
「何? ひょっとして自分だけが特別扱いされてると思ったの?」
「いや、別に~?」
なんだか気まずくなったので、ユイから視線を反らして自分も携帯を取り出してメールの内容を眺めてみる。そしてある事に気付いた。
「なぁ、この同窓会ってあるの今日じゃないか」
「なんだ、知らなかったの? だから、今日は私達これで切り上げるのよ」
「おいおい、そんなんでいいのかよ」
勉強時間を与えないくらい無理やり練習時間を引き伸ばして、俺や落田に赤点取らせた人物とはとても思えない発言である。……まぁどうせ勉強しなかったけど。ちらりと落田を見ると、問題なさそうな顔をしていた。いや、それどころか少しにやけていた、それでいいのか、落田。
どうやら行くしかないみたいだ、その急な同窓会に。
「じゃあ私は帰るね。いろいろと同窓会の準備しないといけないし」
「オイラも髪型バッチリキメてくるでやんす」
落田、お前坊主だろ。
2人は足早に去っていった。余程同窓会が楽しみなのだろう。
集合時間を確認する。午後8時か、これからゆっくり帰宅しても余裕で間に合いそうだ。
とりあえず明日が心配だが……気にしたら負けなんだろうな。
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