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上がる血しぶき
そこは全面真っ白な壁な小さな個室…だった
今はソレによって
白以外に赤が加わる
そこには
母親、兄と妹、友人2人、恋人
そして、父親と俺が居る
俺は
血にまみれた両手にナイフを握っていて
父親は赤の中心に倒れている
そう
俺は今
父親を殺した
それも
計6人もの人間目の前で
が
それらの目は
ひどく無機質な冷たいもので
だから
それが
余計に今のこの状況を
異様な雰囲気にさせた
震える手
震える心
俺は
そんな状況をわざと傍観しながら
べったりと赤にそまった頭の中で
何故こうなったのか
此処はどこなのか
ぐるぐると
それらを思い返していた―…
――――――――――――――-
事の始まりは12時間前
今日の朝の出来事だ
時刻は8時を回ったところ
俺はいつものように
ゆったりと朝食をとっていた
今日は月曜
平日だから
勿論学校があるわけで
若干寝坊気味なわけだけど
それでもマイペースにゆったりと朝食をとっていた
焦ったところで
間に合う保証なんて無いし
別に皆勤賞を狙ってるわけでもないから
今日ばかり遅刻しても
人生に何の支障もきたさない
人生
諦めが肝心
そう
思ってた
不意に
「優希!
あんたいつまでご飯食べてんの!!」
なんて
母親の怒声が飛ぶ
それにハッとして時計を見ると
なる程、その針は9時付近を指していて
俺は流石にマズイと思い
残りの物を一気に口にかき込むと
鞄とブレザーを掴んで玄関に向かった
と
パタパタと母親も後から付いてくる
俺は
何だ?と思い振り返ると
母親のその手には布巾に包まれた弁当が
「あぁ
すみません
有難うございます」
…と
受け取ってハッとする
見上げると
少し寂しげな母親の顔があって
「あ…っと
じ、じゃあ
行って来ますっ」
俺は
その場から逃げるように家を出た
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