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「だいたいさ~
兄貴とかカノジョとかそっち呼べって話」
頬杖をつきながらこちらを睨むようにため息をつく
「いや、
晴はヘタに真面目だし…」
「カノジョはお嬢様学校だし?」
俺は苦笑いで返事をする
「しっかしお前も根性すわってるよな」
話を逸らすべく
俺はその場しのぎの話題に切り替える
「何がよ?」
不意な言葉に
眉をしかめる恵美
それに対して
俺は深く考えずに言う
「いや、
中学生の
しかも受験生がこんなところでサボってるなんて
俺の時代じゃ考えられなかった…っ!?」
と、
突如視界が遮られ
同時に
まるで頭に万力をキツくかけられたかのような激痛がはしる
一瞬
何が起こったかわからなかった
の
だが、
視界を遮るモノの生暖かい温度と
それの隙間からうっすらと見える恵美の明らかに不自然な笑みにより
何が
どうして起こったか
即座に理解してとれた
「スミマセン…
俺、の
せいっすね」
その何とも情けない声色の言葉に反応して、
頭が痛みから解放される
が
未だにあの笑みは消えてない
「えーっと…
いや、軽率な発言スミマセン…」
俺は思わず目をそらす
と
「じゃあ
おごって」
一応
表情とはマッチングした
明るめな声がかえってきた
「財布持って無いから」
補足
こいつは、
軽く5人前を超える程度の量を食べていて
まぁ
しがない高一生には少しばかりイタい金額になるのだが…
「はい…」
勿論
逆らえるわけもなく
俺は素直にそれに従った
「で?
コレからどうすんの?」
店を出た俺達は
とりあえず足の向くままにぶらぶらと歩いていて
「え?
どうするって?」
「あんたのせいであたしは“病人”なわけだし
学校には戻れないでしょ?」
彼女は再びあの笑顔をする
「要するに、ヒマを潰す良い案を出せと?」
俺が苦笑いで聞き返すと
彼女はそのままの表情で首を大きく縦に振る
「え~…
でも、金無いよ?」
彼女は無言で俺を見つめる
「え~っと、
君、受験生だし
帰って勉強し……ーっ!?」
と
言葉を言い終える前に
強烈なヘットバッティングをお見舞いされる
「何よ!!
都合の良いときだけ呼んどいて
いらなくなったらポイですか!?」
と
わざとらしく瞳を潤わす恵美
「あたしはあんたのオモチャってわけ!?」
「人聞きの悪い事を往来で叫ぶなっ」
慌てて反論するも
「事実じゃん」
と
バッサリと返され、俺は思わず口を紡ぐ
事実っつうか
嘘は言ってないけど…
言い回しで
ニュアンスがさぁ…
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