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もちろん、私と優先輩だってお互いのことを想ってはいるけど、それと唯達のあの仲の良さは何か違う気がする。
「千里さんも、午後は授業?」
優先輩が尋ねる。
「あっ、う、うん…」
「そっか。じゃあ、モリを監視しながら僕も研究室で千里さんを待ってるね」
にこっと優先輩が微笑む。心がほわっと温かくなるような、微笑み。
前より大分慣れてはきたけれど、この笑顔を見るたびドキドキしてしまう。
「ちさ!ヤバイっ!あと5分!!」
唯が時計を見て慌てて立ち上がる。
「えぇっ?!ホントだ!」
のんびり幸せを感じている場合じゃなかった。
二人で慌ててトレーを返却口へ返す。
「じゃあ、後で!」
唯が森本君に大きく手を振る。私もそれにならって、優先輩に小さく手を振った。
森本君は満面のスマイルで唯に大きく手を振り返し、優先輩はほわんとした笑顔で私に小さく手を振った。
先輩が、私に手を振り返してくれた…ただそれだけなのに、嬉しくて思わず顔がニヤけてしまう。
そんな顔を見られたくなくて、少し俯いて歩いていると、唯が不思議そうに言った。
「ちさ、どうかした?調子悪い?」
「ううん、ただ…」
「ただ?」
「幸せすぎてニヤけちゃうのが恥ずかしくて」
「はいはい、ごちそ-さま」
唯は苦笑した。
それから、こう、付け足した。
「ちさのとこはほのぼのラブラブカップルでいいよね。羨ましいなぁ」
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