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「旅行?!」
思わず唯を見る。
唯は顔を赤くして、怒ったような顔で森本君を見ていた。
「唯さん…そんなに楽しみにしててくれたんだ…」
「あ、当たり前でしょ!彼氏と旅行なんて、は、初めてだし…!」
唯は照れたのか、ぷいっとそっぽを向いてしまう。そんな唯は十分森本君と「恋人」だと思う。
「旅行の話したとき、あんまり嬉しそうじゃなかったから、俺のわがままに付き合ってくれてるんだな~、って思ってた…」
森本君がつぶやくように言うと、唯はそっぽを向いたまま答えた。
「嬉しくないなんて、そんなこと…ないよ。あんまりはしゃぐのも、恥ずかしかったんだもん…」
「唯さ~ん…」
「超カワイイ!」と抱きつこうとして森本君は唯に頭をはたかれる。
獅堂先輩がたまらず吹き出し、唯以外はみんなつられて笑った。
「十分、「恋人」っぽいよ、唯」
隣で赤い顔をしてそっぽを向いている唯にそっと囁く。唯は不服そうな顔をしたけれど、それ以上は何も言わなかった。
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