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まだ冷たい澄んだ空気が残る早朝、一際澄んだ一筋の気合い。
とある高校の一角設けられた道場にその姿はあった。
セミロングの黒髪を綺麗に後ろで結い上げ、腰には漆黒ともいえる黒帯、姿勢よく正座をする姿に息を飲む美しさ。
つい先程まで稽古をしていたのを思わせない程、整った息。
『ふぅ。』
静かに目を閉じたまま深呼吸を行った。
朝日が道場に差し込むあたりを目を細めて見上げた。
漆黒の黒帯に器用に刺繍されてある名前。
宇佐木 夏音。(うさぎ かのん)
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