其ノ壱-斬れぬ輩を斬れる者-

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「くそっ…」 栗色の柔らかな髪高く結い上げた少年は、思わず舌打ちをした。 大きな目に長い睫毛、色白の肌。 中性的で整った顔立ちのその少年は、鋭い眼光で敵を見つめ、刀を構えた。 いったいなんだ、こいつらは…? 少年の頭の中を先程から同じ疑問が巡っている。 刀の先には、巡察中突如切りかかってきた浪士。 しかし、その瞳は毒々しい紫色で口元には怪しい笑みをたたえている。 少年は小さく息を吐くと、目に見えぬ速さで相手の脇腹を裂く。 瞬時におびただしい量の血が溢れ出す。 普通の人間ならば、立っていることはおろか、息をする事さえも困難なはずだ。 しかしこの敵は違う。 切られる前となんら変わらず、ニヤニヤこちらを見ている。 永倉さんが言ってたとおりだ。 気味が悪い。 少年は顔を歪めた。 早く終わらせてしまおう。 少年は体を回転させながら、浪人の首を切り落とした。 痛みを感じない…のか? 手の平に人を切った確かな感覚を覚えながら、昨夜の会合のでの話を思い出していた。
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