15人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「くそっ…」
栗色の柔らかな髪高く結い上げた少年は、思わず舌打ちをした。
大きな目に長い睫毛、色白の肌。
中性的で整った顔立ちのその少年は、鋭い眼光で敵を見つめ、刀を構えた。
いったいなんだ、こいつらは…?
少年の頭の中を先程から同じ疑問が巡っている。
刀の先には、巡察中突如切りかかってきた浪士。
しかし、その瞳は毒々しい紫色で口元には怪しい笑みをたたえている。
少年は小さく息を吐くと、目に見えぬ速さで相手の脇腹を裂く。
瞬時におびただしい量の血が溢れ出す。
普通の人間ならば、立っていることはおろか、息をする事さえも困難なはずだ。
しかしこの敵は違う。
切られる前となんら変わらず、ニヤニヤこちらを見ている。
永倉さんが言ってたとおりだ。
気味が悪い。
少年は顔を歪めた。
早く終わらせてしまおう。
少年は体を回転させながら、浪人の首を切り落とした。
痛みを感じない…のか?
手の平に人を切った確かな感覚を覚えながら、昨夜の会合のでの話を思い出していた。
最初のコメントを投稿しよう!