其ノ壱-斬れぬ輩を斬れる者-

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「皆集まったか?では会合を始める」 胡座をかき、腕を組みながら、土方は低い声で言った。 その隣には、体格はいいが、穏やかな目をした、人が良さそうな男がどっしりと座っている。 彼の名は、近藤勇。 そして彼を取り囲むように数人の男が座っている。 彼らは、新撰組である。 「今日集まってもらったのは他でもない。新たな敵についてだ。」 近藤は厳しい面持ちで話し始めた。 「永倉、平助。詳しい情報を皆に伝えてくれ」 皆の視線が、永倉と呼ばれた男にまず集中する。 彼は体はさほど大きくないが、がっしりとした体つきで、鍛えてあるのが伺える。 「はい。俺は一昨日、巡察中に5、6人の浪士に囲まれた。訛りからして、恐らく長人だろう。人通りが少ない所でいきなり切りかかってきたから、切り伏せてやったんだ」 永倉は一人一人を真っすぐな瞳で見つめ、そして近藤を見た。 「まぁここまではよくある話だな」 土方は胡座を崩し、膝を立てた。 後ろの蝋燭の炎が、ゆらりと揺れる。 「ああ。だがここからが問題なんだ」 永倉は、より真剣な顔付きになった。
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