15人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「俺はたしかに奴らを斬った。だが…奴らは倒れなかった。どれだけ斬っても、平気な面してニヤニヤ笑ってやがったんだ」
永倉は、その時の情景を思い浮かべるように顔を歪ませた。
永倉の言葉を前に、部屋は静まり返った。
「新八ぃ、それってつまり…不死身ってことか?」
永倉の隣に座っていた体格の良い男、原田左ノ助は驚きを隠せなかった。
「ああ、どうやらそのようだ。俺が、見た限りではな」
永倉は引きつった笑みを浮かべた。
「全く得体が知れねぇ…。」
土方は眉間に皺をよせ、不機嫌さをあらわにする。
「平助はどうだったんです?」
それまで口を開かなかった栗色の髪が美しい美少年、沖田総司は顔を上げ、静かに向かいの少年に話しかけた。
沖田は正直、この話にあまり興味が無かった。
土方らとの会話や、隊士の間の噂でこの話について知らないわけではなかった。
だがなぜか、この現実離れした話を、心から信じる気にはなれなかった。
しかし、会合が始まってから、徐々に沖田の中で事情は変わっていったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!