其ノ壱-斬れぬ輩を斬れる者-

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「俺はたしかに奴らを斬った。だが…奴らは倒れなかった。どれだけ斬っても、平気な面してニヤニヤ笑ってやがったんだ」 永倉は、その時の情景を思い浮かべるように顔を歪ませた。 永倉の言葉を前に、部屋は静まり返った。 「新八ぃ、それってつまり…不死身ってことか?」 永倉の隣に座っていた体格の良い男、原田左ノ助は驚きを隠せなかった。 「ああ、どうやらそのようだ。俺が、見た限りではな」 永倉は引きつった笑みを浮かべた。 「全く得体が知れねぇ…。」 土方は眉間に皺をよせ、不機嫌さをあらわにする。 「平助はどうだったんです?」 それまで口を開かなかった栗色の髪が美しい美少年、沖田総司は顔を上げ、静かに向かいの少年に話しかけた。 沖田は正直、この話にあまり興味が無かった。 土方らとの会話や、隊士の間の噂でこの話について知らないわけではなかった。 だがなぜか、この現実離れした話を、心から信じる気にはなれなかった。 しかし、会合が始まってから、徐々に沖田の中で事情は変わっていったのだ。
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