第1章 巡る運命

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 実際にはアルビオン自身が残したものだが、それでも内容は弘樹自身についてのことであり、あまり気分のいい場面ではない。 「義兄さん?」 「え? ああ、ごめん。ここは英雄フェリアルが予言を残すシーンだよ。闇の王が未来に復活するが、異世界から炎の剣士がやってきて魔王を倒すだろう……という」 「え? それって……」 「ああ。俺のことだ。仲間と共に予言を果たした。多くの命が……失われて」 「ご、ごめんなさい……」 「別に謝ることはないさ。それにしても、随分とカルナイン語が上達したな? 魔術の方だってかなり腕を上げたみたいだし」 「だって、異世界の言葉に興味があったんですもの。それに新しい素質を見つけたのだから、伸ばしたいわ。待ってて。いつか完全な次元の扉を開いて理想世界に行ってみせる」  意気込むアリスはさらに本を読み進めていく。確かに、こことは違う異世界に憧れる気持ちは分かるが、理想世界といえど決して甘い世界ではない。  むしろこの世界よりも傷つく可能性は高いのだ。  弘樹はアリスに程々にしておくように言い、手近にあった魔術書を手にとってペラペラとページを捲る。  正直なところ意味不明だった。全てが英語で書かれているというのもあるが、そもそも知らない用語が多すぎる。  こんなものをスラスラと解いていくのだから、改めてアリスの頭脳明晰ぶりを感心し、弘樹は部屋を後にした。
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