第1章 巡る運命

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 夢を、見た。  どこまでも続く草原の彼方に、赤い街並みと白銀の城が見える。  とても懐かしい風景に俺の心は躍った。草原を駆けていくと、町の入り口に誰かが立っている。  紅い髪が風で揺れ、黄色い上着に赤いシャツを着た少女……。  彼女は以前と変わらぬ笑顔で俺を出迎えてくれた。  熟したレモンを俺に差し出し、苦笑しながら町の中を巡る。  手と手を繋いで歩調を合わせ、大通りを歩いていると……妙な違和感を覚えた。  彼女の体が……軽い?  不思議に思って隣を歩く彼女の姿を見てみると、彼女は……光になって――。
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