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みなの脳裏にアルビオンの顔が浮かび、苦笑が食卓に満ちる。
兎にも角にも理想世界に行くことが決まった。期待と不安を半分ずつ抱きながら二人は眠り、翌朝、荷物を整えて魔法陣の前に立つ。
弘樹の胸元には、星の形の宝石が煌めいていた。
「では扉を開きます。私が助力できるのは、ここまでです。どうかお気をつけて」
「ああ。じゃあ、開いてくれ」
魔法陣が眩く輝き、中央から徐々に不気味な黒い孔が開いていく。
「やっぱり凄い……こんな完璧な扉が開くなんて」
「いくぞ、アリス。手を離すな」
「はい!」
二人は同時に次元の扉へ飛び込み、光の粒子が渦巻く次元の海を一直線に突き進んでいく。
アリスには刺激が強かったのか途中で気を失ってしまい、弘樹も何とか意識を保ちながらアリスの手をしっかりと握って、眼前に広がる光を見つめた。
この光のどこかに、あの少女の姿が無いか探すが、影も形もあるわけがない……。
やがて二人は青白い光に包まれて、冷たい石の床に倒れていた……。
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