第2章 英雄の帰還

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「どうぞ!」 「ありがとう。いただきます」  紅茶が入ったことによって談話の中に華が咲き、弘樹が現実世界に戻ってからの経緯を話していると、長椅子で眠っていたアリスが眼を覚ました。 「あれ……? ここ、どこ?」  上体を起こすと、楽しげに談笑している弘樹とミオの姿が眼に映る。 「義兄さんと……誰?」  首をかしげながらアリスは弘樹に近づく。 「義兄さん……あの、ここは?」 「やっと起きたか。ここは王都の大神殿。いまは孤児院らしいけど。で、こちらが――」 「ミオ・フィリアスよ。よろしく」  真っ白な巫女服を着た白銀のミオを見たアリスは、少々狼狽しながら握手を交わした。  そのふくらはぎまで伸びた銀の髪や色違いの両目など、同じ女性ながらとても綺麗だと思って見惚れていると、茶髪の女の子がアリスの分の紅茶を運んできたので彼女も席に着く。 「ここが異世界かぁ……あまり実感が沸かないわね」 「ふふ、ここに来たばかりのときの彼も同じ反応だったわ。だけど都を見たら驚くかもしれないわね」 「……なぜにこちらを見る。分かってはいるけど」  茶請けのクッキーを齧る弘樹は眉を寄せ、それを見た女子二人は朗らかに笑う。  さて、ここいらで弘樹が本題に入った。 「ミオ、ネリーフィスから事情は聞いているか?」 「……ええ。自分でも整理がついていないわ。なにせ、昨晩に聞いたのだから。失礼な話よね。私だって守護者の一人なのに隠されていたなんて」 「守護者ってことは、ミオさんもナイトと同じ……」 「ええ。といっても、彼ほど純粋ではないわ。もともとはノルムという精霊がいたのだけど、彼の力を私が受け継いだの。ヒロキも同じね。それで、具体的な対策だけど……」  ミオは一晩のうちに謎の勢力に対する策を考案していたらしい。  弘樹とアリスは少し身を乗り出して耳を傾け、咳払いを一つしたミオが口を開き――。 「何も無いわ」  二人はテーブルに頭を打ち付けた。 「なら思わせぶりなこと言わないでよ!」 「あら、ごめんなさい。だけど対策の打ちようが無いの。情報が何も無いのだから。そうね、王様なら何か知っているはずよ。挨拶に行くのなら聞いてみれば?」 「そうだな。シクルスやメイスさん、それに師匠にも会っておきたいからちょうどいい」 「だけど王様に会うのに、こんな格好で大丈夫かな?」
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