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「あの……えっと……えへへ、キヌアになっちゃいました」
「なっちゃいましたって…………本当に、キヌアなのか?」
「はい! わたしは、キヌアです!」
その時の彼女の笑みは、確かに、二年前に見せていたものと相違なかった。
キヌアは弘樹に近づいて、首に抱きつく。
「やっと……会えました。わたし、ずっと傍にいたんですよ? 宝石の中に入って、ずっとヒロキさんを見ていました。ヒロキさんが悲しい顔をするところも、笑うところも、ずっと見ていました」
「キヌア……ごめん、気付かなくて。さびしい思いをさせたな」
「いいんです。だって、ヒロキさんの傍にいることができました。ヒロキさんが宝石を身に着けていてくれて、すごく嬉しかったです。でも、こうして会えることがとても幸せです」
互いに強く抱き合った。鼓動すら、感じ取れる。
これほど嬉しいことがあるだろうか?
時間の流れなど忘れ去り、どれほど時が経ったのか分からない頃、弘樹はゆっくりと立ち上がった。
「みんなのところへ行こう。きっと、心配しているから」
「わかまりました。わたしも、久しぶりに、皆さんに会いたいです!」
キヌアが祈るように手を絡め、能力を発動させると純白の羽が舞い、魔法陣が生み出された。
「さあ、行きましょう」
「ああ!」
魔法陣へ脚を踏み入れ、弘樹とキヌアは仲間たちのもとへ飛んだ。
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