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行き着いた先は、何も無い広大な平原。草と花が咲き乱れ、空は青く、白い雲が呑気にただよっている。
その中に、彼らが待っていた。
キヌアに支えられて近づく弘樹を、彼らは笑って取り囲む。
特にキヌアが一緒にいることが皆を驚かせた。
「あれ!? キヌちんがいる! もしかして、ゾンビちゃん?」
「ゾンビじゃありません!」
「いいツッコミ……」
妙に感心するアリス。色々と聞きたいことがあるが、とりあえず、ギルドが弘樹の肩を叩きながら挨拶を送った。
「よう! ちゃんと生きてるようだな。ちょいと身体が軽くなったか?」
「ああ。右半身が若干ね」
と、空になった右の袖を揺らしてみせる弘樹に、ミオが躊躇いながら言う。
「大丈夫なの? その、治すことも出来るのでしょう? 光の力で。何なら私が……」
弘樹は彼女の申し出を、手を振って断る。
「いや、これでいい。これなら、もう剣を握らなくてもいい」
「剣士を止めるのか?」
驚いたエミルが聞いた。
「ああ。もう、俺は人を斬らない。そうありたい」
「なんだよ、つまらんな。久しぶりに、本気で手合わせしたかったんだがなぁ。まあ、お前がそう決めたなら、好きにしろ。オレが口出しできることじゃねぇからな。で、なんで嬢さんがいるんだ?」
誰もが気にかけていた疑問を、キヌア自身が答えていく。
自身を弘樹のペンダントに封じ込めていたことや、体を与えられたネリーフィスと一つになったことなどなど。
かくしてキヌアは復活を遂げ、生きている。
仲間たちもまた、それを嬉しく思った。
「さぁて、めでたいことだし宴でも……と言いたいところだが、まだまだやることが多いぜ?」
「そうね。壊れた町を復興しないといけないわ」
「こういう時こそ、僕たち守護者の出番かもしれないね」
「あはは! がんばるぞ!」
再び訪れた平穏と待ちうける仕事に張り切るギルドたち。
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