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「それで、貴方達は、これからどうするの?」
「そうだな。前にも言った通り、旅にでも出るさ。好きな土地を見て、美味いものを食べて、好きな女を抱いて……自由に生きたい」
「そう……残念ね。隙あらば、ここで一緒に暮して欲しいと言おうと思っていたのに」
「ふぇ! そうだったんですか!?」
「ふふ、冗談よ。私はここで、親の無い子供たちと過ごしたいの。まだまだ、子供たちは増えるわ。せめて、あの子たちには幸せになってほしいの」
「ミオ……」
「さ、忙しくなるわね。それじゃあ、失礼するわ」
白銀の巫女が礼拝堂の奥へ引っ込み、残された弘樹とキヌアは神殿から出て空を見上げる。
どこまでも続く、青い空。眩しく温かい太陽。世界が、光で満ちている。
「これから、何処に行きますか?」
「そうだなぁ……まずはカルナイン王国を制覇しないとな。まだまだ、見ていない土地は沢山ある。キヌア……一緒に来てくれるか?」
「はい! もちろんです!」
強く頷いたキヌアの頭をぐしゃぐしゃと撫で廻し、弘樹達は王都を後にする。
愛馬マロンの背に乗り、風を切って、何物にも縛られずに二人は大地を駆ける。
時は流れ、剣を捨てた英雄と姫君は、あらゆる土地を駿馬と共に駆けまわり、やがて誰も知らぬ土地に小さなレモン畑を作ったという。
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