身勝手な夜

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何度目だろうか。先が、狭い場所を突き抜けた。 「ん゛!」 眉をしかめ、痛みに耐えている。 構わず腰を動かす。 少しずつ奥まで入っていく。 ぐすっ、とハナを啜る音がした。 見上げると、顔を背けたまま、はらはらと涙を零している。 「痛いだろ? 俺のは処女向きじゃないから」 そのうち、動きが少しスムーズになった。 それもすぐ乾いてしまい、動くのはきつい。痛みを感じるほどの摩擦。 それを心地よさまで持っていく。 浅く、小刻みな動きに変え、その瞬間、引き抜いてすべて吐き出す。 「動くなよ」 メイド服は言われなくても動けないようで、呆然としたまま濡れた目で壁を見ていた。 簡単にティッシュで後始末をしてやり、今日三度目のシャワーを浴びに部屋を出た。 頭からシャワーをかぶる。 そういえば、聞かないとならないことがあったな。 バスルームから出ると、リビングがふっと暗くなった。 毛布を持って行ってやる。 メイド服は驚いていたが怯えながらも受け取った。 どうやら裸が苦手らしい。 俺は部屋に戻り、ベッドに潜り込む。 初めてにありがちな、コトが済んだあとに泣かれたりベタベタされたりがないから、逆にいい。 金が絡むとデメリットしかないと思っていたが、考えたらフーゾクだと思えばいい訳だ。 普通なら、何も知らない女を育て上げたいと思うのかもしれない。 けど、女のめんどくささを知ってしまうと、そんなことはただの夢物語でしかないと思い知る。 所詮性欲処理。 女に理想を求める時点で、間違っている。 俺だって理想とかけ離れているんだ。 夢は寝て見ろよ。
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