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朝。
ケータイのアラームで目が覚めた。
卒業式が終わっても、在校生はまだ三学期中。
シャワーを浴び、制服を着てリビングに入る。
「おはようございます」
メイド服がキッチンにいる。
ダイニングテーブルにはグレープフルーツ、バナナとキウイがボウルに盛られていた。
「なんだ、これ」
「朝ご飯です。おかずになるようなものが何もなかったので」
俺は溜め息をついた。
「自分でやるからいらない、と言ったはずだ」
「でも…」
「食わない。あんたは俺の食い物の好み知ってるのか?」
「………」
黙って俯く。
「余計なことはするな。だいたい、何もしなくていいと言ったはずだ。自分のことだけやってろ」
「…ごめんなさい」
「ここにいつまでいるつもりだ?」
これが聞かなければならなかったこと。
「金額がかなりなので、それなりの期間になるかと…」
「金が手に入れば、あとここにいる必要は無いだろう」
「そんなわけにはいきません。ちゃんとします」
最初から心に決めていたようではっきり言い切った。
「じゃあ戻って来るまでに考えておけ」
俺は鞄を抱えると、玄関に向かった。
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