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金はあり余っている。
世界不況は関係ない。
卒業打ち上げをパスし、マンションに帰って来た。
3LDKに一人暮らし。リビングは28畳もある。
分譲マンションだから、作りもしっかりしている。もちろん父親のデザインだ。
シャワーを浴び、腰にバスタオルを巻いたまま、ソファで仰向けになる。
天井をぼんやり見る。
携帯電話が鳴る。どうせ今から打ち上げ来いよ、という電話だろう。
くだらない。
電話が切れる。
また鳴る。
切れる。
…何度か繰り返した時、玄関に来訪者が来たことを知らせるチャイムが鳴った。
オートロックのエントランスをどうやって入って来たのか。
豪華マンションにありがちな門構えがあるから、いきなり襲われることは少ないだろうと考え、上半身裸のまま、ドアを開けた。
門の前には、通販で買ったとおぼしきメイド服を着て、ボストンバッグを抱えた女性が立っていた。
「あ、あの、メイド、いりませんか?」
消えそうな声。寒さのせいか、バッグを抱えた手が震えている。
「いりません」
「どうしてもですか?」
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