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「他をあたってください」
「なんでもします。あの、私のこと、好きにしてかまいませんから」
「じゃあ好きなだけそこにいてください」
俺はさっさとドアを閉めた。
外気にさらされ、すこし体が冷えてしまった。
白いロングTシャツにブラックジーンズを穿く。
ついでに冷蔵庫から冷凍ピザを取り出し、オーブンレンジに入れる。
適当に晩飯の用意をしていると、また玄関チャイムが鳴った。
まだいたのかとうんざりしていると、二度、三度と立て続けに鳴る。
ピザに気を取られながら玄関を開けると、さっきのメイド服が、管理人と揉めている。
揉めているというより、一方的に管理人に責められている。
「あ、染矢さん。この変な人、知ってますか?」
「ごめんなさい、私帰りますから!」
メイド服は、一目散に逃げ出した。
「あ。管理人さん、捕まえて!」
俺が叫ぶと、管理人よりメイド服が驚き、短い悲鳴とともに派手に転んだ。
「ほら。立て」
メイド服は怯えたまま、管理人に立たされ、腕をつかまれて引きずられるように俺の前に突き出された。
「どうしますか、染矢さん」
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